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11歳のローファー
メンズ靴が好きなので、
ローファーが一番自分の靴の中では手入れが楽しい存在。
忙しさにかまけて、久しぶりの手入れになってしまった。
この靴は11年目で、
長男と同じ年齢のローファー。
出産のあと、数ヶ月して
初めて一人で息子を連れ電車に乗り新宿伊勢丹に行った日のことを鮮明に覚えている。
電車の中で泣いてしまわないかな?
抱っこ紐の方が泣かないけど、ベビーカーで電車という環境にも慣れて欲しいな。
好きな洋服も着たいな。
悩みながらベビーカーで初めて乗った電車は、
案の定、3駅いかないくらいで泣いてしまい
あやしたけど全然だめで一度下車。
(8割くらいの乗車率で人目が気になってしまった)
なんとも言えない切ない気持ちで抱っこ紐に入れて、母の用事に付き合わせて良いのかという罪悪感に引き返すか悩んだがもう一度乗り直した。
やっと辿り着いた新宿伊勢丹はもはや異国で、産後の私には眩しかった。
できるだけ時間が短く済むように下調べしたけど、試し履きして結局たくさん悩んでこれを購入した。
これなら、電車も車も大丈夫。
当時の私にはとても高価なお買い物で、初めての赤ちゃんとの日々に精一杯で自分のためにしっかり時間とお金を使うことに妙に興奮し、
そして罪悪感を感じ、ドキドキしながら持ち帰ったことを覚えている。
今は、電車の中で泣いたらはいはい、と抱っこ紐に入れ、私ものすごく頑張ってるもん。と
堂々と持ち帰ることが容易く想像できる。
この10年ちょっとの間に何が…?
とちょっと笑えてくる。
図太くなったんか…?
限られた時間の中でどこに行き、誰と会うのか、何にお金を使うのか、どんな時間を過ごすのか。
母親になり、より考えるようになりました。
誰しも有限な時間の中で、時間を作り足を運び
来て頂けることの重みは年々増しています。
お子さんを預けてきてくださる方、お仕事をお休みしてきてくださる方、他にもそれぞれの色々な生活の中でRiziereを選び関わってくださっていることに感謝をし、様々な日常をイメージをし、
この靴を履くたびそんなことを思って背筋が伸びています。